世界遺産にアートまで。激動の歴史と最先端が混在するドイツ・ベルリン旅

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2023/03/25

ドイツの首都・ベルリン。20世紀をはさんで100年あまり、栄光と繁栄、戦乱と分断、まさに激動の歴史に翻弄され続けた都市で知られます。

そして、東西ドイツの統一から30年以上経った現在も復興へ発展途上であるとともに、国際都市としても進化を遂げています。

ベルリンで注目エリアの1つ、パンコウ。image by:シカマアキ

ベルリンで最も有名なのは、かつてこの大都市を分断していた「ベルリンの壁」です。まだ残る壁の一部は、観光客の人気スポットとなっています。

また、ドイツ国内に51ある「ユネスコ世界遺産」のうち、ベルリンとその近郊に3つあって、これらも定番人気。ほかにも文化から歴史、グルメまであらゆる見どころが東京23区の約1.5倍の広さがあるベルリンの各地に点在しています。

今回紹介するのは、定番ルートからやや外れつつも、魅力あふれるスポットの数々。旅を通じて、ほかの都市にはない「ベルリンらしさ」が実感できるでしょう。

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

最もアートな「ベルリンの壁」と地元民でにぎわうおしゃれエリアを街歩き

イーストサイドギャラリー

イーストサイドギャラリーで有名な壁画の1つ。image by:シカマアキ

ベルリンといえば、やはり「」は外せません。「イーストサイドギャラリー」は旧・東ベルリンにあり、世界各国の芸術家118名が壁の崩壊後に描いた100以上の絵が見られるオープンギャラリーが、シュプレー川沿いにあります。

約1.3kmにもおよぶアートの壁は、それぞれの絵に込められた思いなども見どころです。

オーバーバウム橋

オーバーバウム橋とSバーンの列車。image by:シカマアキ

川にかかる「オーバーバウム橋」はかつて東西を分断していた場所で、いまもベルリンのランドマーク的存在です。

クロイツベルク地区

おしゃれな店舗が多いクロイツベルク地区。image by:シカマアキ

川を渡った先の「クロイツベルク地区」は、かつて西ベルリンだったところ。個性的なショップやカフェ、建物に描かれたアート、にぎやかな市場などもあるドイツの庶民的な雰囲気で、食べ歩きや散策が気軽に楽しめます。


  • East Side Gallery
  • Muehlenstrasse 10243 Berlin, Germany
  • 「S」「DB」Ostbahnhof(ベルリン東)駅、「S」「U」Warschauer Strasse駅など
  • 定休日:なし
  • 24時間
  • 公式サイト(ドイツ語)

「ベルリン大空輸」の空港跡地、大人気のガイドツアーで内部潜入

テンペルホーフ空港

ベルリンにかつてあった国際空港の1つが「テンペルホーフ空港」です。2008(平成21)年の閉港後に公園化され、市民憩いの場となっています。

空港ターミナルビル(奥)と駐機場だった場所。image by:シカマアキ

1923(大正12)年の開港後、1941(昭和16)年にアドルフ・ヒトラーが掲げたベルリンの「世界首都ゲルマニア」構想の一環で、空港ターミナルビルが改修されました。

当時のまま巨大で威圧感ある建物は外からも見られますが、おすすめはターミナル内が見学できる「ガイドツアー」(ドイツ語・英語)です。

空港ターミナルビル内部。カウンターなどはいまも残る。image by:シカマアキ

2時間のツアーでは、かつて使われていたチェックインカウンター、レストラン、搭乗ゲートなどを見て回った後、ターミナルの一部で1993(平成5)年まで駐留していたアメリカ空軍の訓練施設なども見学。

ツアーの受付があるビジターセンターは誰でも無料で利用でき、空港の歴史などを紹介するパネル展示も必見です。

空港ターミナルビルのメイン入口。image by:シカマアキ

テンペルホーフ空港は、冷戦時にソ連が行ったベルリン封鎖に対抗した西側の空輸作戦「ベルリン大空輸」の舞台だったことでも有名。その後、実質「飛び地」となった西ベルリンと西側諸国を行き来する重要拠点となりました。

屋上テラスのイメージパース。奥は元・管制塔。image by:シカマアキ

空港跡地はまだまだ発展途上。空港ターミナルビルの屋上がテラスとなり、2023年5月にオープン予定です。

  • Flughafen Tempelhof
  • Platz der Luftbrucke 5, C2 12101 Berlin, Germany
  • 「U」Platz der Luftbrucke駅
  • ガイドツアー:17.50ユーロ
  • 定休日:火曜日(ビジターセンター)
  • 10:00~17:00(ビジターセンター)
  • 公式サイト(ドイツ語)

世界遺産登録のモダニズム集合住宅群は現代の生活様式にも影響

ベルリンのモダニズム集合住宅群

2008年、「ベルリンのモダニズム集合住宅群」が世界遺産に登録されました。

ベルリンでは第1次世界大戦後、人口急増による住宅不足が深刻化。1910(明治43)年から33年にかけ、大型の集合住宅「モダニズムジードルンク」が次々と作られました。ジードルンク(Siedlung)とは団地、集落などの意味します。

「グロースジードルンク・ブリッツ」image by:Shutterstock.com

世界遺産となった6カ所にある住棟には現在も住民がいて、外から見学可能。最も有名なのは、池を取り囲む巨大な馬蹄形の建物を中心とした「グロースジードルンク・ブリッツ」で、建設当時は主に労働者向けの住宅でした。

「グロースジードルンク・ジーメンスシュタット」にある住棟。image by:シカマアキ

グロースジードルンク・ジーメンスシュタット」は、6名もの建築家が携わった集合住宅群です。

約19ヘクタールの敷地では、白い壁、平らな屋根、水平横長の窓、直線が基調のシンプルな設計といったジードルンクの基本から、曲線形のバルコニーやレンガ造りの入口など、建築家ごとの個性やこだわりも建物ごとに見られます。

長い建物、理路整然と並ぶ入口なども特徴。image by:シカマアキ

緑地が広い、理路整然としたデザインなど、日本に現在もある団地ともどこか似ている部分も。時代ごとに改修を重ねつつも100年の年月を感じさせない斬新なデザインは、誰しも見ごたえ十分です。

  • Hufeisensiedlung Britz(インフォメーションセンター)
  • Fritz-Reuter-Allee 44, 12359 Berlin, Germany
  • 「U」Blaschkoallee駅、Parchimer Allee駅
  • 定休日:月〜木・土曜日
  • 13:00~17:00(4~9月は14:00~18:00)
  • 公式サイト(ドイツ語)
  • Grosssiedlung Siemensstadt
  • Goebelstrasse 13627 Berlin, Germany
  • 「U」Klosterstr.駅
  • ※一般住宅のため見学時は静かにするなどの配慮が必要です。

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